「洋太くん、花火!打ち上がったよ!!」
彼女は目を輝かせて空を仰いだ。
雲一つない晴れ渡った夜空に一つの火の玉が宙を舞い、弾けたような音がする。
そして色とりどりの光の照明によって、彼女の横顔を照らし出す。
「…綺麗だね」
ぼんやりと彼女を見つめて、消え入るような声で呟いた。
やっぱり、彼女はどこか懐かしい面影があるというか、雰囲気が感じられる。
昔、俺も女の子とこうして花火を見ていたような記憶がある。
でもその相手が誰だったのか覚えていない。
頭の中に靄がかかったような感覚がして、思い出したくても思い出せない。
そもそも彼女はどうして俺のことを知っていたのだろう。
「いいよね、はなびって…」
考え事をしていると、彼女がゆっくりと口を開いた。
「この時間がずっと永遠に続いてくれたらいいのに…」
くるりとこちらに振り向き、一歩ずつ後ろに下がって。
そのまま ドボンッ。
彼女は海の中へと落ちてしまった。


