「ねえ、この魚たちは今何を考えながら泳いでるんだろうね」 水族館特有の薄暗い青色の照明に照らされ、優雅に泳ぐ魚たちを見て、彼女はそう言った。 「…さあね。『暇だ〜』とか、『腹減った〜』とか思ってんじゃない?」 適当に答えると彼女はくすりと笑って、水槽の方へと視線を戻す。 「私だったら…そうだなぁ。『広い海に帰りたい』って、思うかな」 ゆっくりと泳ぐ魚を目で追いながら「何で?」と聞き返す。