そして、蓮は大体廊下側の一番後ろ。
あのときから、蓮と話すことに少し怖さがある。
私が口をあける度、何か怒らせちゃうんじゃないかとか、気に触っちゃったかなとか。
そんな心配も、席がこれだけ離れていれば大丈夫そうだ。
「鮎川さん?」
「えっ!!……あ、はい、!」
突然声をかけられ、ビクッ!と体が跳ね上がった。
目が合った瞬間、後ろの席の男の子の目が少し見開いた。
すぐに、思い出したかのようにくすっと笑われる。
は、恥ずかしい……。
「今日はプリント配ったらもう下校だってさ。
はい、これ1枚余ったよ」
無意識に後ろに配っていたプリントは、私が貰っていなかったプリントだった。
「あっ、これ私の分だっ……」
「えぇ?
鮎川さん、おっちょこちょいなんだね」
ははっと笑う、後ろの男の子。
あまりの恥ずかしさにかぁっと顔が熱くなる。
