「佐倉、柚々家まで送ってあげて」
「わ、わかった………」
「れん……?」
口調こそ冷静でいるようだけど、頭ん中では猛烈な怒りで満ちていた。
佐倉にはそれが伝わっているのか、察したように柚々を連れて音楽室を出ていった。
一刻も早く柚々の視界からこいつらを消したいのと、このままじゃ俺の気が収まらないから。
「……お前ら、何したかわかってんの?」
───パタン
柚々たちが完全に去ったことを確認して扉を閉めた。
逃げ出さないように。
小学生といえど、女に手を出しちゃいけないことくらい分かる。
必死に自分を落ち着かせる。
「蓮様っ!!
わたしたちは、あの女から蓮様を守ろうと思ってっ……「は?誰が頼んだそんなこと」
そう言った女を睨みつけると、周りのやつらは恐怖のせいか打ち震えていた。
……そんな中、藤川はじっとこちらを見ていた。
「蓮様、あんまりです……」
ポツリと、藤川が口を開いた。
