幼少期、柚々と出会ったときから、すでに周りの男は彼女の虜だった。
かくいう俺も、その一人。
ベタベタとくっつくやつや、手紙を渡して告白するようなやつもいたっけな。
とうの本人は好意を向けられていることすら気づいてなかったけど。
今までは斜め上をいくような彼女の思考のおかげで、大抵のやつらは諦めが早かった。
俺にはただ見ていることしかできなくて、もどかしい気持ちが募っていくだけ。
ある時、それを見ていた兄貴、翔(しょう)に助言された。
『蓮、好きな女の子守りたいなら
見てるんじゃなくて傍にいること。
蓮が隣にいるだけで、色々変わると思うよ?』
