ドアから飛び出した私に驚いたのか目を見開いた彼は
一瞬にして、鋭い目付きで私を睨む。
「お、お待たせしてごめんなさい……」
「……はぁ」
一度や二度だけじゃない遅刻に呆れているのか、深いため息をつき
壁にもたれかかっていた体を起こし、先を歩いた。
「…… 似合ってない
その髪型一生すんな」
髪、上手くいったと思ったんだけどな……。
「なにしてんの、早くいくぞ」
どんどん遠くなっていく背中に
置いていかれないようについていく。
私の歩幅に合わせてゆっくり歩いてくれるおかげで、すぐに追いつける距離なんだけど
心の距離はやっぱり遠く感じる。
私たちは物心がつく前からずっと一緒にいた。
うちがお隣さんいうこともあって、家族ぐるみで仲が良い。
おまけに子どもたちだけではなく、親まで同い年で気が合うみたい。
