タイトル未定


どんどんと声が大きくなっていくハルちゃんをどうにか抑えつつ、今日は解散した。




まさか岩崎くんがアイドルだなんて、衝撃だった。


……いや、考えてみればあの容姿で芸能人じゃない方がおかしいのかもしれない。

けれど、あんなに気さくに話しかけてくれて、人懐っこい性格をしている彼は、芸能人のオーラとはまた何か違ったものを感じた。



ハルちゃんのお話を聞いたとき、私にも似たような体験があったことを思い出した。



昔、‘’ありすちゃん‘’という女の子の友達がいたんだ。



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初めて会った日、彼女は音楽室でひとり泣いていた。

その背中は、消えてしまいそうなくらい、あまりにも小さく縮こまっていた。

そんな姿を見たら、放ってなんかおけなかった。




______キイィ

扉を開けると、小さくなった背中がビクッと跳ねた。



「だいじょうぶ…?」


「……ひっく……ぐすっ……」



恐る恐る声をかけてみると、大きな瞳からポタポタと雫がこぼれ落ちていた。

慌ててそばに駆け寄り、ポケットからハンカチを取り出しそっと拭き取る。