進路相談が終わった杉山と
廊下ですれ違った
杉山
先生と何話したんだろう
「気になる?」
すれ違い際
杉山の声が聞こえて足を止めた
「オレの進路、気になる?
…
それより
オレがまた先生になんかしたか
想像してた?
…
浅倉、エロいね」
間違ってなくて
何も言えなかった
「そんな恥ずかしそうな顔されても
何もしてないから」
どんな顔してるんだろう
私
顔が熱い
杉山が見てると思うと
「先生には
もぉ何もしないよ
…
先生、結婚するんだって…」
「え…」
結婚
杉山が発した2文字に
驚いた
「あ、コレはナイショね
まぁ、そのうちみんなわかるか…」
杉山は
どーってことなく言ったけど
大丈夫?
杉山
「ん?
浅倉、なんでそんな哀しい顔すんの?
もしかして、浅倉
清水のファンだった?」
やっぱり
相手は
清水先生なんだ
もし私が哀しい顔をしてるなら
それは
清水先生のファンだからじゃなくて
杉山に
同情してるからだと思う
「杉山…大丈夫…?」
「なにが?」
杉山は
ホントは
すごく…
「別にオレ
先生と結婚したかったわけじゃないし…
…
ただちょっと…
ただちょっとかわいいな…とか…
好きだな…とか…
…
けど、本気で好きだったよ
…
ガキだから
結婚とかぜんぜん考えらんねー
所詮、子供なんだよね、オレって…
思い知らされたわ」
杉山は
上手く走れなかった時の顔をしてた
本気で好きだったよ
その部分が
私の心に深く刻まれるみたいに
残った
「杉山…
走るの止めないでね
…
私、応援してるから…」
「は?浅倉に関係ないじゃん
走るの、オレだし…
…
浅倉のために走ってないから」
「そっか…
そーだよね…」
杉山は
私が応援したってダメなんだ
大好きな先生が
応援してくれなきゃ
走るの止めないでね
言わなきゃよかった
たしかに
私には関係ない
また杉山が
走ることを止めるんじゃないかって
止めてほしくなくて
そんな事を言ってしまった
浅倉のために走ってないから
杉山がいなくなった廊下
しばらく動けなかった



