杉山に触られて

いつもみたいに

溶けていく



「ん…」



「どこ気持ちいいか、教えて…」



「教えない…最後だから…」



最後だから教えても仕方ない



いつも杉山は気持ちよかったよ



優しく触れる指先

温かい愛撫



なぞられる場所全部気持ちよくなる



杉山は

私の他にもこーゆーことする相手

いたのかな?



「ねぇ、最後だから、言ってもいい?」



杉山が私の胸元で言った



「なに?」



「好きだった」



「え…なにが?」



「浅倉のこと、好きだった」



「私?
なんで…

最後なのに
そんなこと言わなくても…」



「好きって言ったら
お互い感情入るから今まで言わなかった」



どーゆー意味?



「私も、言っても、いい?」



「なに?」



胸元から杉山が私を見た



「今日が最後にしたくない…」



「え…
けど…オレ、大学こっちじゃないから…

来月、行くから…」



「うん、知ってるよ」



「もぉ、なかなか会えないし…」



「そっか…
向こうでも、そーゆー人作ればいいもんね」



私じゃなくてもいいよね

杉山に触られながら思った



杉山から目をそらした



「浅倉、なんで、目そらすの?」



「…ん?…辛い…」



何が辛いんだろう、私



杉山ともぉできないこと?

杉山がこっちにいないこと?

杉山が好きって言ったこと?



「浅倉、こっち見てほしい…

いつも、やってる間
浅倉は
オレのことしか見てないのがよかった」



なにそれ



「ヤダ…

見ない」



腕で顔を隠した



「浅倉が
オレのことしか考えられないようにしたい

ずっと
そぉ思ってた」



今も

杉山のことしか考えてないよ



目をそらしても

目を閉じてても

杉山の顔が浮かぶ



なのにもぉすぐいなくなるんでしょ



「向こうでも
たぶん、オレ、浅倉が好きだよ

離れるのわかってて
付き合ったりすると辛いじゃん

だから、この関係が、よかった」



「杉山、勝手だね…

杉山、嫌い

好きにさせといて
そんなこと、言うな…」



「好きって…?誰が?」



今更気付いた



両思いだった?

私たち



「好きだったよ
杉山のこと…

こんな関係じゃなくて…
彼女になりたかった

でも、大キライ

今日、嫌いになった

杉山なんて、もぉ好きじゃない」



私の中で

杉山が止まった



杉山の手が

顔を隠してた私の腕を退かした



「ヤダ…

見ないでよ

杉山なんか、見たくない…」



声が震えた



「ホントに嫌い?

オレのこと…」



「…」



声を出したら溢れそうで

黙って頷いた



杉山の唇が

身体じゃなくて唇に

優しく触れた



ーーー



初めてだった



「ホントは、キスしたかった

いつも、我慢してた

ずっと、好きだったよ…

浅倉…」



「遅いよ…杉山…

嫌い…杉山…

嫌いって、言ってよ…杉山も…」



「好き…浅倉…

好きだよ」



ーーーーー



「杉山のバカ…

杉山なんて大キライ!」



流れる涙と一緒に

杉山の唇が何度も重なった



ずっと一緒にいたい



こんな関係でも



そう思ったって

今日が最後なのに…



バカだ

私も



今までで

1番気持ちよかったよ



杉山



ありがとう

さようなら



私も、好きだったよ