六月の神社は心地良い静寂に包まれている。紺碧色の紫陽花が雨の中美しい結晶のように、あちらこちらで花開く。


片想いしてた時から毎日のように通いつめてた場所は、叶ってからは、二人になった。


そもそも彼は人に全く興味も関心も示さない。それでも繊細な美しさを兼ね備えていた容姿が、周りを引き寄せる。それでも“彼だけ”はしとしと降る雨のように穏やかだった。


どうして私に興味を持ってくれたのか。聞いた事すらないけど――きっと、巡り合わせなのだろう。



待ち合わせ場所に来た彼が名前を呼ぶ。


「小鳥」

「雨くん……!」


ぱたぱたと彼の傍に駆け寄る。自分の傘をとじ、青い傘の中へ入る――雨が降る日の日課だ。