ヴィンセントは風音たちと再会した後のことも、詳しく話していく。

今回は風音たちの力が必要だと思い連れて来たこと、穴を潜り抜けたらこの屋敷の前だったこと、既に巨人の姿はなかったことなどを。

「…………僕らのいる世界とこの世界を行き来してるってことなのかな、あの巨人は……」

静かに話を聞いていた風音がそう言うと、ヴィンセントは「そういうことになるな」と答えた。

「…………あのさ。あの巨人……悪霊の気配が混ざってた」

「悪霊の気配が混ざってた……?」

風音の言葉に葉月は首を傾げ、真冬は表情を崩すことなく風音を見つめる。

「……どうして、妖に悪霊の気配が混ざってたんだ?どうして、あの巨人は異世界を行き来が出来るんだ?」

そう呟いて考え込んでしまった風音の横顔にしばらくの間見惚れていた葉月は、「颯なら、分かるのかな……」と我に返りながら呟く。

「……僕に聞かれてもねぇ……」

そう言いながら部屋に入ってきたのは、颯とふわふわの金髪の男性――アレン・ホッシンズだった。

「……颯!?」

噂をすれば影がさす、と言わんばかりに姿を現した颯の姿に葉月が驚くと、その葉月の声に考え込んでいた風音は顔を上げる。