私たちふたりは、春から同じ高校に進学する。

年が変わっても、この暮らしは何も変わらない。

そう、思っていた。


「あのね、千乃ちゃん……ちょっと言いにくいんだけど……」


ある晴れた日の夕方。
おばさんの、この言葉を聞くまでは。


「隣の家……、千乃ちゃんの住んでいた家ね、今度引っ越してくる家族がいるんだって」