儚く甘い

兄の叶えられなかった夢をかなえた葉月。

兄の死で、悲しみから抜け出せず、罪の意識から解放される方法すらわからない達哉が進学したように、葉月も兄の死から抜け出せず、前に進むために目標が欲しかったのだ。

『叶えちゃった』
誰からも好かれる性格で、いつも優しく美しく微笑んでいた葉月が、笑顔を失っていた。

葉月がたったひとつ見つけた、生きる理由を叶えた瞬間、抜け殻のようになっていた時、達哉は葉月に再会した。

これは兄からの試練だと思った。

兄が誰よりも大切にしていた葉月。
その葉月を助けることが自分への兄の試練だと。