儚く甘い

「病気の進行が怖くて、諦めることばかり考えちゃってたのね、私たち。」
母は点滴が終わってからも目を覚まさないみわを見つめながら話す。
いつの日からか、明日が怖くなっていた。
みわが旅立ってしまう日が怖くて、明日なんて来なければいいとさえ思っていた。

でも、達哉と一緒にいるみわの表情は、母も見たことの無いような表情で、明らかに恋をしている顔だった。

成長している。
変化している。

今まで怖くて仕方なかったことが、今日だけは希望に見えた。

「だめね、卑屈になってたら。みわはちゃんと生きてる。今を生きてる。」
「あぁ」
みわの体に毛布をかけなおしながら隆文も、焦りすぎて大切なことを忘れそうになっていた自分に気づく。