4月14日

秋場孝行様
おばあちゃんの家から送られてきた郵便物の中に、先生からの手紙を見つけた時は、心臓が止まるかと思いました。
今も、手が震えてる。文字が歪まないように気をつけます。
お返事いただけてどんなに嬉しいか、表現する方法がわかりません。

先生は、たまたま私の手紙に感銘を受けて、たまたま返事を書く気分になって、たまたま素晴らしい記憶力を持っていたので覚えていた住所に返事をくれた。
それがたまたま、私に届いた。
そういうことですよね?
素敵な偶然と先生の記憶力に感謝します。

ごめんって言わないでくれるの、相変わらず優しいですね。
返事を望んでいなかったというよりは、来ないと思っていたからこそ、あんなことを書けたんです。恥ずかしい。

あと、そんなバカ正直に書いたらダメですよ。
学校にバレたらまずいんですよね?
他人に見られたらヤバイとか考えなかったんですか?
住所を書いたら返事を書いていいって期待しますよ。

なんて、きっと在学中ならこんなことを言っていたかなと思います。文字にすると言い方キツイですね、ごめんなさい。
こんなに大切な手紙、誰にも見せたりしません。私以外に見せたくない。その点は安心して下さい。
先生のそういう、天然なのか計算なのかわかんないけど隙だらけなところに、いつも振り回されてる気がします。

昨日は入学式でした。桜はギリギリって感じです。
スーツって変な感じがします。すごく大人になった気がする。中身は全然変わってないのに。
しばらくはガイダンスだらけの毎日が続きそうです。
食堂も図書館も教室もどこにあるのかわからなくて、地図が手放せません。
友達はまだできてないけど、サークルの勧誘?ってすごいんですね。
駅のティッシュ配りのほうが好感持てちゃう(笑)
カバンにまでチラシ入れられてもみくちゃです。

おばあちゃんの家は遠くないけど、通学する路線がなくて一人暮らしになりました。まだ慣れなくて、ちょっと大変。
先生は新しい学校はどんな感じでしたか?
どんな雰囲気だろう?楽しそう。
行ってみたいけど、男子校では無理ですね。

お身体に気をつけて。さようなら。

志摩野英里