テーブルの上に並べたのは、グラスに崩れたケーキを詰め込んで。その上に比較的無事だったフルーツをのせたもの。



「なにこれ……可愛いわ!」

「ほぉ、リメイクですか」


この家のキッチンがうちの厨房よりもデカくて、凄かったことは説明するまでもないだろうけど。

小さな頃、失敗したケーキはこうやってコップに詰められてよくおやつとして出てきた。



「あなた凄いわ!あんなにグチャグチャになってたのに、器用なのねぇ」


さっきまで、しかめっ面してたお嬢様が目をキラキラと輝かせて声を弾ませて食べ始めた。
良かった、これで今度璃香子が来たときに変なこと言われなくてすむな。とホッする。



「じゃ、俺はこれでー」

「どうして?璃香子はいつも一緒にお茶してくわよ?」

「……」


面倒くせーし、璃香子も心配だし、帰りたいんだけど。なぜかケーキを食べるのに付き合わされる事となる。



「その制服…学ランのボタンと校章、市立東中学ですよね?」

「あら、あなた中学生なのね?今日はお休みなの?」

「んあ?あぁ。つーか、お前も学校休みだったん?」


俺の場合は無断早退というサボりだけど。