納得いかないまま家の中へ通されたけど。
なんだこのゴージャスな西洋の城みたいな部屋は。広すぎだろ?何畳あんだよ。

天井は高いし、上からシャンデリアみたいなのがぶら下がってるし、壁には風景画が飾られているから、落ち着かなくて仕方がない。



「こちらをどうぞ」


ただケーキを届けに来ただけなのに、なぜか周って奴に紅茶をだされる始末。

ソファに座らされ、向かいにはさっきのチビがむすっとしながら座っている。
めちゃくちゃ、居心地が(わり)い。




「璃香子さまはどうなされたのですか?その制服は中学…」
「そうよ、璃香子はどうしたの?」

「璃香子は具合が悪くて……あっ!」


周とチビの質問に璃香子の顔が浮かびあがる。
しまった、ヤバい、やらかした。
璃香子に頼まれた仕事だったんだ。
ケーキはぐちゃぐちゃで商品にならない。代金も貰えない。

つまり璃香子に、怒られる──。



「……ケーキすみませんでした」

「いえ、こちらにも非があるので大丈夫ですよ。きちんとお支払いもいたしますので安心してください」
「えー、なんでよぉ!」


マジで?やった。金はくれるのか、とホッと胸を撫で下ろす。けど、なんかそれも悪いよなー。



「あ、ちょっとだけキッチンかして貰っていーっすか?」