「用があるのはお前じゃないんだけど」
「あぁ?うぜーし離せよ」
相手の胸元を手の平でトンッと押しすと、3年の1人がよろめいて壁に背中をついた。
「いってー、何するんだよ?」
「そっちこそ俺に触んじゃねーよ!!」
「こらぁ!!お前ら、なにやってるんだ!?」
丁度その時、学年主任の五木が駆け寄ってきた。
五木は体だけはデカい体育会系の教師だ。
なんたよ、面倒な奴が来ちまったな。どうせ来んならもっと早く来いよな、この役たたずが。
「加賀美!!お前、また何かやったのか?」
「あぁ?何もしてねーよ」
「お前が問題起こさないなんてあり得ないだろ!?」
「いってー、何言ってんだ、この暴力教師が……」
五木が怒鳴り声を出して俺の頭をガツンと小突くから、コイツの胸元に手を伸ばす。
「いーから、泰良。行こうぜ」
「先生、バイバーイ」
胸ぐらを掴む前に、赤司が俺の肩に手を回して、利瑛に腕を引っ張られる。
「これ以上、問題起こすな。おばさんにまた連絡いくぞ?」
赤司が小声でそう言うから、チッと舌打ちして歯を食い縛った。
「ったく、お前らもう帰る時間だかんな。それとな大人には敬語を使うように!おい、加賀美、お前も真っ直ぐ帰れよな!!」



