「髪下ろしてんのな。なんかいー香りする」
「その言い方!泰良それヤらしーって、ひゃはは!」
泰良達から少しだけアルコールの匂いがして、私までイケないことをしている気分になってしまう。
「鼻まで真っ赤になってやんのな。ほーんと可愛い奴ー」
「……っ、」
「泰良、お前酔いすぎだって!」
お酒なんて飲んでないのにふわふわするわ。
泰良にとってたいした意味のない言葉。私が少し仲良くなっただけの小学生なのはよく分かっている。
だけど、心臓がドクンと大きく跳ねて息が苦しくて仕方がないの。
「た、泰良は、私のこと可愛いって思うの?」
「おー、可愛い、可愛い。お前のほっぺたマシュマロかよ」
「おい、泰良っ」
「本当の本当?私が大切で可愛いのね?」
「あぁ?可愛いに決まってんじゃねーか……華花はー、チビで生意気でうるせーけどー」
今度は頬をぐるぐる撫でられて、左右に引っ張られる。そのまま、完全に顔で遊ばれるように鼻を摘ままれて、頭をポンポンと何度も軽く叩いてニヒヒと笑う。
そんな顔するなんて、泰良はズルいわ。
冷たい手から伝わってくる体温に、胸がギュッと締め付けられる。
「あのね、泰良……」
「んー?」
「私、私は、泰良のこと……好きだわ」



