「あなた、誰なの?」
「あぁ?」
「璃香子はどうしたのかしら?」
「……まずさぁ、この状況で俺に謝れってんだよ!」
「ねぇ、璃香子は?いつも璃香子が来るんだから!」
なんだ、このチビ。俺の質問に答えないコイツが、意味が分かんないとばかり首を傾げ両手を腰に当てるから。
まるで悪いと思っていない様子に俺の苛々が増していく。
「璃香子の代わりにケーキ届けに来たんだよ!うわっ、ケーキも吹っ飛んでるし……ったく、ふざけんなよ」
横になった箱を開けると、中のショートケーキたちが無惨な姿になっていた。
「大変っ、大丈夫かしら?」
「あ?今更……」
「あー、もう!私のケーキがグチャグチャじゃない!」
「だから、お前が吹っ飛ばしたんだろ!?」
「すっごく楽しみにしてたのに……、どうしてくれるのよ!それにあなた璃香子じゃないし、名乗りもしないでとても失礼だわ」
みるみると顔が歪んで、その大きな目に涙が溜まっていく。
はぁ?ケーキごときで何でお前が泣きそうになるんだよ。これじゃぁ、まるで俺が悪いみたいじゃねーか。
「華花お嬢様、どうかなさいましたか?」
納得がいかない不満だらけの中、チビの後ろから男が顔を出した。



