「……たいしたもんじゃないけど、これ、やる!」
「まぁ!!私にプレゼント??」
俺のベッドに華花がちょこんと座る。ピンク色の小さな紙袋を渡すと、大きな瞳が丸く輝いた。
「……お花のクッキーだわ!」
「金かかってなくて悪りーな。アイシングも家のだし」
ムカつくけど、兄貴のおかげで久し振りに華花と2人きりになれたな。小さな息を吐いて、華花の隣に腰を下ろした。
「え?え?手作りなのかしら?これを泰良が作ったの?こんな可愛いお花のクッキーを私のために?」
「うるっせーなぁ」
「凄いわ!で、でも、どうして?今日、パーティーやるなんて内緒にしていたのに……」
「寄り道しないようにって言われたらさ、華花が今日くんの分かんじゃん。それに、俺、華花にすっげー迷惑かけたし、クリスマスも近いしさー」
透明なラッピング袋に入ってるのは、花の形をしたアイシングクッキーで昨日の夜、作ったもの。
本当は何か買おうと思ったのだけど。金持ちの華花に何をあげていーか分かんなくて、璃香子に聞いてみたら「手作りにしたら?喜ぶよー」と言われたのだ。
「とても、凄く、嬉しい……私、幸せだわ!一生の宝物にする!」
「いや、食えよ」
こんな嬉しそうな顔してくれるなんて、マジ屈辱的だったけど恥を捨てて母ちゃんに手伝って貰って良かった。
「あ、私……、ごめんなさい。パーティーやることしか考えてなくて、何も準備していなくて」
「ふはっ、それで充分だよ。いっぱい準備サンキューな」
「……っ、ずるいわ。そんな顔して笑うなんて、私、何もあげられないのに…」
しょんぼりと尖らせた唇に"ちゅっ"とキスをすると、華花の甘い香りがした。



