「本日は、奥さまと加賀美ご夫妻との大切なお話がありますから。華花お嬢様はお部屋に戻っていて下さいね」

「えー、どうしてよ?せっかく泰良が来てるのに……」

「華花さまは今お友達が遊びに来ていらっしゃるでしょう?お待たせしたら迷惑ですよ」

「……分かったわ」


むー、と頬を膨らませた華花が、俺の方を名残惜しそうに見て2階へと上がっていく。

あいつ、遊びに来るような友達いたんだな。





周によって通された広いリビングは、前に華花と一緒にお茶をした部屋だった。

天井からぶら下がるシャンデリア。高そうな絨毯に、アンティーク風のテーブルと大きなソファが並んでいる。そこに俺等3人が腰を下ろし、向かいのソファには美魔女が腰を座っている。

周が人数分の紅茶を入れ目の前に並べていった。


お互いに知らない世界があるのは、当たり前のことだけど。やっぱ、俺と華花は住む場所が違うんだろうな。





「この度は、うちの息子が大変申し訳ありませんでした」


改まった空気の中、話を切り出したのは父ちゃんだった。



「ほら、あんたも頭ちゃんと下げなさい!」


続いて、母ちゃんが俺の頭を後ろからグイッと倒して無理やり謝罪をさせる。