華花のすぐ後ろにいる周にチラリと目を向けた。もちろん、華花が俺んとこ来る時は周もセットだ。

あれ以来、こいつは何も言ってこねーけど、怒っているのがオーラで伝わってくる。
ピンク色の華花に、後ろの周はどす黒い空気が漂っていてまさにカオス。






「お嬢様、ちょっと外しますね」


その周が急用かスマホを片手に病室を出て、やっと華花と2人きりになった。





「……あー、あれだな」

「どうしたのかしら?」


少しだけ気まずい空気が流れる。気まずいなんて思ってるのは俺だけかも知んねーけど。



「お前の誕生日。映画も観れなくて、何もしてやれなくて悪かったな」

「いーのよ!また後で一緒に見に行きましょう?」




「……(なん)か、欲しいもんある?」


久し振りに華花の頭に手をポンと乗せた。
大きな瞳をパチパチとさせ、小さな女の子が首を傾げる。

こんな恥ずいこと、周の前じゃ聞きにくいもんな。



「そうねー、お揃いの指輪とか欲しいわ!」

「おいコラ、ふざけんな」

「それなら、私への愛の言葉が欲しいわ!」

「あぁん?真面目に答えろよ」

「酷いわ、本気なのに!それに、泰良はメッセージの返事も遅いし短いし、ちょっとくらい愛の言葉を耳元で呟いて抱き締めてくれてもいいじゃない!」