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「はい!泰良、あーん!」
サイドテーブルの上に乗る飯を華花がスプーンですくって、俺の口元に近付けてくる。
「ちゃんと口を開けないと駄目よ!食べられないでしょう?きちんと、栄養をとらないと元気が出ないって、看護婦さんが言っていたわよ!」
なんて、頬を膨らませた華花の説教が始まると、廊下の方から「なにあれ可愛いー」なんてクスクスと看護師の声が聞こえてきた。
「…………」
「美味しいかしら?」
口を開ければこれでもかって量を詰め込まれて、目の前の女の子が満足そうに笑う。
「……味が薄い」
「お口開ける泰良、ヒナ鳥みたいで可愛いわ!私達、新婚さんみたいね!ふふっ、楽しいわぁ!」
「あぁん?楽しくねーし、新婚でこんなことしねーよ」
「怪我してる人は安静にきなきゃいけないわよ!ほら、もう一口!あーんよ?」
「…………」
あれから、華花は毎日のように俺の病室に現れる。美魔女の言い付けを守っているのか、長時間ここに居座ることはないけど。
ルンルンと花を飾ったり、ご飯を食べさせたり、周が剥いたリンゴを食べさせたり(定番らしい)、拒否したけど着替えまで手伝おうとしたり。
まぁ、ちょっとウザいけど嫌な気はしない。
正直……、元気な華花のくるくると変わる表情を見られるのは嬉しかったりもする。



