こいろり!




「憧れている人や、好きな人の真似をしたくなる気持ちは分かるわ!」

「ち、(ちっげ)ーよ……、」


途中まででかかった台詞に息を止めた。

ここで修正して華花に何て言うつもりだ?
前は好きだったけど、今は華花が好きだなんて台詞、口が避けても言えるわけがない。



「た、確かに最初はそうだったかもしんねーけど、璃香子は兄貴と結婚してんだぞ?もう関係ねーし……」


ぐるぐると下手な言い訳が空回りしていく。

こいつ俺がまだ璃香子を好きだと思ってんだろうけど、華花が俺を好きだとしても、その気持ちには答えられない。


朝の男子高生が小学生に手を出したニュースが頭に過る。

こんな年下の小学生のこと気になるなんて変だろ?だって、おかしいだろ──?




「ふふっ、いーのよ。隠さなくて!私も璃香子のこと、とっても好きだもの!大人で、優しくて、素敵で……好きって気持ちは簡単に変えられないものよね!」

「うるせーなぁ!璃香子の事は何とも思ってねーっつてんだろ!?勝手に決めんなよ!このガキが!!」


思わず強くなった口調に、華花の小さな体がビクッと震える。

しまった、言い過ぎた。

絶対、泣くかと思ったのに、今度は真っ赤になった頬が膨らんでいった。