それで、不安になって聞いてきたのか。相手が女子だと勘違いをして妬いたのかと思うと、無性に華花に触れたくなった。
なんだよ、可愛過ぎるだろ。
思わず出た右手をぐっと止めて、息を吸って吐いて自身の理性を保つ努力をする。
「あ、今日のこと……さっきの俺が落とした話、周とか美魔女に言うなよ!」
「ふふ、分かったわ!」
「…………」
「…………」
白いファーのコートと耳当てをつける華花を上から見下げると、寒さで頬も鼻は赤く染まっていた。小っちぇえなー。
澄んだ空気に白い息が吐き出されて、冬の冷たい空気が頬を突き刺す。
冷たい沈黙が少し続いて、その静寂を破ったのは華花だった。
「ねぇ、泰良」
「あぁ?」
「泰良って好きな人いるの…、かしら?」
「……んあぁ!?」
「さっき、聞いたのよ。泰良が部屋に着替えに行った時に」
「……何をだよ!?」
「昔、璃香子はヤンキーで金髪だったって!信じられないわ。今はあんなに穏やかで優しいのに、ふふっ、不思議ね!」
「ふはっ。そういや、そんな時代もあったかもなー」
「泰良の髪の毛は、憧れの璃香子と同じ色にしたんでしょう?」
いつも強気な華花が眉を下げて、弱々しく言葉を出していった。



