一瞬にして部屋の空気が凍りついた。と、その直後に周りの視線が俺に刺し向けられる。
ヤッベー……、俺の血の気も引いていく。
「なぁに?ふふっ、お菓子かしら?」
華花が無邪気に開けようとするから、慌ててそのプラの袋を取り上げた。
「なんだ、ゴ……いだっ」
「晃良っ、あんたは黙ってなさい!泰良はまだ中学生なのに何でそんなもん持ってんのよ?しかも華ちゃんの前で落とすなんていい度胸してんじゃないの!?」
「いでっ、違げーし!俺じゃねーし、利瑛が勝手にポケットに入れ……痛ーって、やめろよ…」
母ちゃんが兄貴をぶん殴って、次は俺の胸ぐらを掴んでは頭を叩いて、喧嘩腰に怒鳴り付けてくる。
「え、え……?お菓子じゃないの?」
そんな状況を見て、華花がおどおどと不安そうな表情をして言葉を続ける。
「ねぇ、璃香子。さっきのいけない物だったのかしら?使っちゃいけない危ない薬物とか──?」
「あのね、華ちゃん。あれはね、大人になった恋人同士が使う大切な物でね、女の子の体を守ってくれる物なの。もう少し大きくなったらきっと習うから、それまで待てるかな?」
璃香子が華花の前にしゃがみ込んで、静かに優しく口を開いた。



