こいろり!




顎から指を上に滑らせて、華花の柔らかい唇に触れた。
ぷにぷにと(いじ)ると、華花の息が漏れて湿り気をもっていくのが分かる。

あー、ヤバイなこれ。



「ホッペだけじゃなくて、唇も柔らかいのな」

「そ、そうかしら……ふぎゃっ!?」


唇から上へ移動して、鼻を摘まめば華花が変な声をあげた。トンっと軽く後ろに押すと、華花が床にお尻をついてペタンと座り込む。



「ひ、ひどいわ!何をするのよ?」

「……いつもの仕返し」

「キ、キスされるかと思ったのに……」

「あぁん?お、お前じゃねーんだからするわけねーだろ!ぶぁーーーか!!!」


と、声をあげながら、制服を脱いで部屋着のスウェットに履き替えた。



「きゃぁっ!?」

「おら、(もど)んぞ」

「ちょっと!女の子の目の前で着替えないでよ!!」

「じゃー、勝手に人の部屋入ってくんじゃねーよ!」

「も、もう!泰良の馬鹿ぁ…………?」




そのまま1階に下りて、居間の襖を開けると「遅いわよー」なんて母ちゃんに文句を言われる。いつの間にか、仕事を終えた父ちゃんも増えていた。

コタツに座り直すと、隣に華花がちょこんと腰をおろす。そして、にっこりと笑顔で俺に(てのひら)を差し出してきた。





「はい、これ。さっき着替えた時、落としてたわよ!」