「もう、まだ着替えてないじゃない!遅いわよ?皆、泰良の分のお肉食べちゃうって言ってるのよ?」
華花が腰に手を当てて、生意気な口調をして唇を尖らせる。
きっと、あいつ等が面白がって華花に俺を呼んで来いっつったんだろう。
「どうしたのかしら?」
無言のまま、下から華花を見上げると不思議そうに首を傾げる姿が視界に入る。
華花の駄々漏れな気持ちが、嬉しいなんて。
俺、どうかしちゃったんだろーな。
「なぁ、俺じゃねーの?」
「え?」
「さっきの」
手を伸ばして華花の手首を取った。
そのままグイっと引っ張ると、俺と同じようにしゃがみ込む形になる。
「な、何のことかしら……?」
「お前、俺のお嫁さんになりてーんじゃねーの?」
「え、えぇ!?な、何言って……」
「違げーの?」
「………え、だって、」
すぐ目の前の華花が、眉を下げて恥ずかしそうに戸惑いをみせた。
掴んだ手首からドクンドクンと大きく脈が聞こえてくる。
反対の手を華花の顎においてグイッと持ち上げると、お互いの距離が一気に近くなった。
こんな小さな女の子を可愛くて堪らない、抱き締めたいと思うのは、俺が華花を好きだから──。



