嘘をつく時の先輩の癖

 次の日、いつものように勉強を教えて貰っている時、お兄ちゃんが用事で部屋から出ていった。

 聞いてみよっかな? どんな返事が来てもへこまない!

「先輩、もしも、もしもの話なんだけど……」
「なぁに?」
 
「私の事、好きになってくれる可能性ってありますか?」

 数学の教科書の数字を見ていた先輩の視線がこっちに向いて、瞳が揺れた。

「何、突然」

 しばらく沈黙した後、ちらっとドアを見ながら視線を私に合わせずに、彼はこう言った。

「妹みたいな存在だからなぁ。好きにはならない…と思う……」

 先輩は、そう小声で言いながら自分のもみあげをくるんっとしていた。