それは、きみのあまいくせ









付き合ってからというもの、ゆるは時々上の空になる。

というのも、俺のことをじっと見ていることが多くなった。

そして、見ている時は自然と口が開いていく。

ゆるの可愛いくせではあるが、人の話を聞いていないことが多すぎる。

いい子ちゃんだと思っていたゆるの印象は、この時点でもはや180度は変わっていた。

あまりに話を聞いていないので、むかつきついでにキスをすると、ゆるはいつも、ふにゃりと眉を下げる。

最初は逃げようとするのに、頼りなさそうにキスに応えてこようとする。

本当に健気で、どうしようもなく可愛い。

舌をいれると、いつも肩が強張って、「ふっ」と一生懸命に息をしているのも、また可愛い。