「へぇ、度胸あるね。

ファンクラブの子でもないのに人の私物を盗むとか。」


ファンクラブだったらいいんですか?


そう聞きたくなってしまう口を慌てて閉じる。


「まぁ、いいや。

キミは、今日から俺に逆らえないね。

はい、残念。」


「………えっ」


「自分の立場考えてみてよ。

俺は優しいから、そんなことで怒ったりしないけど。

誰かに言おうと思えばいつだって──」


脅しのようにそう私に言う美南くん。

「返事は?」

「は、はい………」

小さく返事をした。


こんなことから始まった美南くんとの関係。


いつか終わるなんて思ってもいなかった。