ニコッと微笑む芽衣さんはまさに“理想の女性”そのものだった。


そんな時、私の頭でプツンと何かが切れた。


そして、だんだんと怒りに変わっていく。


それは、芽衣さんへでもなく、雪くんに向けてでもなく、


────自分の臆病さに向けて。



芽衣さんはとってもいい人じゃんか。


それに、私の恋を励ましてくれて、


なのに、なのに────


いつまでも逃げてる私。


雪くんが好きになる理由なんて山ほどあるよ………っ。


「小町ちゃん。

大丈夫、行っておいで。」

優しくそう言う芽衣さん。


違う、違う──────っ。


いつまでも甘えてちゃ……っ


「いいんです。

雪くんには芽衣さんが一番お似合いです。

だから、頑張って下さいね。

それと、雪くんに伝えて下さい。


『ありがとう。』って。

それじゃあ。」


私もなるべくふわっと笑うと買い物袋を手に取り一目散で走った。