あれ?

返事がない。

私は思ったことをすぐ口に出してしまうのがくせ。

柊くん、怒っちゃったのかな?

「ご、ごめんねっ!柊くん!」

「お、怒ってるわけじゃない」

不思議な発言をする柊くん。

ふと、柊くんの方を見ると…。

「柊くん、顔真っ赤だよっ!耳も!」

「う、うるさい。飯、冷めるぞ」

柊くん、熱でもあるのかな。

でも柊くん、風邪、ひいたことないし…。

そんなことを考えながら柊くんが作ってくれた美味しい朝ご飯を食べた。

「ごちそうさまでしたっ!美味しかったし、柊くんの顔は赤くないし、良かったぁ」

「…っ。それは良いから。早く行くぞ」

「あ、柊くん、待って~っ!」

足早に玄関を出ていってしまった大きな背中を追いかける。

柊くんは足も速い。

「速いよ、柊くん」

「お前も十分速いよ。普通の女子は追いつ
かない」

柊くんはいつも私のいいところを見つけてくれる。

私の数少ない褒められるところを見つけてくれるんだ。

「それと」

「ん?」

「お前はこっち」

柊くんは私を守ってくれる。

今だって私が車道側にいたら歩道側に引っ張ってくれた。

その分、柊くんの危険が増えちゃうのに。

最近、少し過保護すぎる気がするけど。

「ありがとう、柊くん」

「いいの、俺の意思でやってるだけだか
ら」

優しい。

小さいときからいっつも柊くんは優しい。