まだ貴一がこの町に引っ越してくる前、私の通っていた小学校の目の前には【明るい家族計画】と書かれたコンドームの自販機があった。

今の時代ではちょっと信じられないが、当時も、

「なんで小学校の前にあんな自販機が…」

とは言われていた。

当時、私は奥手だったこともあり、それが何の自販機なのかわからず、友達に聞いて笑われた記憶がある。


本当の意味での新婚初夜のことは、ちゃんと覚えていたかったのに、緊張のあまりよく覚えていないのが現実。

あれから幾夜も過ぎたが、まだ慣れたとは言い切れず、やはり恥ずかしくて寝室を真っ暗にしているのも変わらない。

私が下着を着てから、枕元の明かりをつけて、やっと互いを見つめ合うことができるが、それまでずっと真っ暗なので、使用済みのゴムが妙な場所にあったりもする。