「こういうとき、どうしたらいいんだろう?もし本当だとしても、私…こんな突然、人の親になんてなれるわけないじゃない!一体どうしたら…」

私が大パニックになっていると

「落ち着け…明菜、大丈夫。明菜は一人じゃない。俺がこの子の父親になって一緒に育てるから、結婚しよう!」

ちょっと待ってよ…もう、完全に頭の整理がつかない。

今、10年以上ずっと片想いしてきた相手から突然プロポーズされるという、恋愛映画ならクライマックスの場面でしょう?

しかも、誰の子かわからないし、私の子ですらないのに、子供の父親になるとまで。

そういえば、キアヌ・リーブスが、ブドウ畑の女性のお腹の子供の父親のふりをして、最後はくっつく映画があったような…。

雲のなかで散歩、だっただろうか?

ちなみに、貴一は若い頃のキアヌになかなか似ている。

いろいろ脱線したが…本来なら、今は最高のシーンである…はずなのだ。

それなのに…状況が状況で、喜んだり感動するどころじゃない!


何も言えないままフリーズしていると、赤ん坊が泣き出した。

「やだ、どうしよう…私、泣く子のあやしかたすら知らないのに」

「それなら、うちに経験者がいるから、おいで」