今日子は、このことを誰にも言わないで欲しいと言ったが、胎児は1秒毎に確実に成長しているのだから、そんな悠長なことは言っていられないとも思う。

「ねぇ…先輩、何か言ってなかった?今日子のことで」

「いや?先輩も最近は忙しいみたいだし、そんなにマメに連絡とってるわけじゃないから」

「そう…」

ソファに腰を下ろし、つい頭を押さえていると、

「坂井、先輩とのトラブルで来てるのか?」

因みに、坂井とは今日子のことである。

「まぁ、そういうことになるんだけど…。先輩って、貴一にも連絡マメにくれるタイプではないの?」

「うん。人間関係だってどんどん変わっていくし、ずっと中学の頃のままってわけにもいかないじゃん。俺のほうから連絡することが多いかな」