19で父を亡くした時には、母を亡くした時よりは冷静でいられたのだが、10代で家族をすべて亡くし、悲しくないわけがない。

やはりそのときも、貴一はとても心配して、毎日私の家へ訪ねてきた。

貴一の御両親も、しばしば私を夕飯に招いてくれたり、早めに免許を取得した貴一は、車であちこち連れていってくれ、私はその優しさに甘えることにした。

今、毎日どちらかの家で夕飯を食べるというスタイルは、この頃から始まったように思う。

私は、図書館司書になるつもりでいたが、大学を中退してしまったのだから仕方ない。

働きながら大学に通えるほど、器用ではないから。

それでも、やはり本に携わる仕事がしたかったので、まずは書店でバイトを始め、正社員にもなれた。

今も私は、心穏やかに、明るく生きることができている。

それは私の強さなどではない。

いつの日も、貴一がすぐ隣で支えてくれたから…。