総一郎はすらすらと執務をこなしながら、姫香には目もくれずに言った。
姫香は何か言い返そうと言葉を探したが、結局見つからずに頬を膨らませた。

(か・・・可愛い・・・!!)

弘人が心の中で呟き、これもまた心の中でガッツポーズを決める。
しかし、気付くはずもなく、姫香は「そうそう!」と弘人を振り向いた。

「出来上がりましたわ!ヒロト!」

「え?」

何が?と言いたげな弘人の視線に気付いていながらそれを壮大に無視し、姫香は誇らしげに胸を大きく反らせる。

「ヒロト用生徒会専用制服ですわ!」

「作ったのは私たちだけどね~」

「だけどね~」

ほとりとほたるがそう言って微笑んだが、姫香は制服を弘人に渡して微笑んだ。

「これで!名実共に陽琉高等学園生徒会ですわね、ヒロト!」

「は・・・・・はい」

「何ですのそのやる気の無い返事は!生徒会長公認なんですのよ!?」

「いや、お前が勝手に決めただけだろ・・・」

思わずそうツッコんだ凛に、容赦ない姫香の鉄拳が振り落とされる。
ぐは、と凛は地面に突っ伏し、好葉が呆れながら彼を起こしてやった。

「ちなみに」

総一郎の厳しい声に、弘人が「ひい!」と悲鳴を上げる。

「お前の役職は雑務だ。文句ないな?」

「雑務・・・?」

好葉がにっこりと笑い、人差し指を立てて振る。

「つまり!パシリってこと♪頑張ってね弘人くん!」




・・・・・パシリ?




「はい、頑張ります!」
弘人は目を輝かせて貰った制服をぎゅーと抱き締めた。
何故だか知らないが・・・急にやる気になったらしい。
・・・多分、姫香のお陰だとは思うが。