「えっ、私?」





突然自分の名前が出てびっくりする。





「そう、このあと2人でご飯でもどうかなって思ってさ」





「あ、昨日のお礼?今日でも良ければ...」





「ううん、昨日のお礼なんていらないよ、俺が誘いたかっただけ...」

「2人っきりはだめ!」





春音が突然私の腕にしがみついて叫んだ。




彼女が大きい声で怒ることは今まで無かったので耀くんが驚いた顔をする。





「春音...でも」





「でもじゃないよ!私がよく知らない男の子とは遊びに行って欲しくない!」





腕に触れている手が小刻みに震えているのがわかってハッとする。





「浅見くんは暁良に用事があるんだってすぐわかったけど、出かけるなら4人で行けると思ったもん...いきなり2人だと思わなかった」





...中学2年生のあの日、嫌な思いをしたのは自分だけじゃない。




春音の方が怖い思いをしたのかもしれない。





わがままなんじゃなくて私を心配してくれてるんだって分かる。昨日のこともあったし。





浅見くんの方を見ると困惑しているのがわかって少し申し訳ない気持ちになる。





「浅見くん...ごめんね、今日はやめとこうかな。また誘ってくれる?」





春音のことを考えると今日は断った方が良さそうだ。




昨日手を引かれた時のことを思い出して少し残念な気持ちにもなるが私は自分の気持ちよりも春音の方が大事だ。