空を跳ぶ足

「北崎さん!早くいきましょう」


ぐいぐい北崎さんを玄関から連れ出すと、満面の笑顔で手を振って送りだされた。


「ゆっくりしてきていいからね」

「さっさと済ましてくるから!」

「それじゃ、お言葉に甘えて……」

「もうっどっちの味方よ」


ぷんぷん怒って北崎さんを見ると、髪をかきあげて笑った。

「僕は田上さんの……あなたの味方です」

「よろしい。ではいきましょう」


透き通った瞳をまた見れて、胸がドキドキしてくる。笑うと人懐っつこい感じがしてモテそう。


「あっ行くのは、こっちグラウンドです」


菱沼さんの家に行きかけて、呼び止められる。

グラウンド??誤解を解くのにそんな風通しのいいとこに行くものなの?誰かに聞かれてしまうかも。


「これから未奈の出るレースがあるんです」


それじゃ彼女の応援するための、カモフラージュに私を使うということ?行くと言った以上ついていくけど、勘違いってこと?