空を跳ぶ足

誤解を解くには、未奈ちゃんのことを話す必要がありそうだけど、私からそれは言えないし……


「今は理由を言えないけど、それは誤解だから」


その時、玄関のチャイムが鳴った。会話を終わらすには絶好のタイミングだったので、私が出るよと席を立った。

何か宅配便が届いたのかもとドアを開けると、外にいたのは北崎さんだった。


「田上さん、一生のお願いです！一緒に来てください」


必死の形相で頼まれるので、もしかして未奈ちゃん絡みのことかとピンとくる。菱沼さんへの誤解を解くのに事情のわかっている私が必要になったのね。


「わかりました。荷物を取ってきます！」


少しまともな服装に着替えて下にいけば、母親と北崎さんがごにょごによ話をしていた。緊急事態なのに、なんだか楽しそうだ。


「もうっ緊急事態なんだからね」

「そうねえ。大変だこと」


明らかに楽しんでいる風なので、むっとして靴をはく。