空を跳ぶ足

それから何日かたって、母親からリビングに呼ばれた。


「史織、外ではご近所の目も考えてね」


ため息をついて悩ましい感じがする。


「何もご近所の目を考えることなんてしてないし」


しれっとお茶菓子に手をのばす。甘いの、しょっぱいのチョコとお煎餅の無限ループにはまってしまいそう。


「あなた北崎さんに追いかけられて、誤解だのなんだの言い訳されてたっていうじゃない。そんな痴話喧嘩そとでしないで欲しいわ」

「いや、それはそもそも北崎さんが悪いというか……」


お客様だとしても女子大生に手を出しているのは北崎さんだし。それを黙っていてあげているだけなんだけど、どこからそんな……


「もうっ菱沼さんに聞くまで、あなた達が付き合ってるなんて知らなかった」

「ええっ??初耳なんだけど」

「もうバレてるのに隠さなくていいわよ」

「それこそ誤解だよ……」


まさか菱沼さんに見られていたとは。一番厄介な相手じゃないか。