空を跳ぶ足

額の汗を拭いていた北崎さんの顎が落ちる。ぽかんとすると口が開くってホントだよね。


「えっ。そういった意味では……」

「いえ。いいんです。無粋なことは聞きません」

「あの、誤解……」

「心配しないでください。そういったことには理解ありますから」


狭いご近所付き合いでも、噂になりたくはないはず。今日見たことは、私の胸にしまっておこう。

そのうち噂好きな菱沼のおばちゃんに見られたとしても、それまでは何も言うまい。

にっこり微笑んで会釈すると、呆然としつつも北崎さんは見送ってくれた。