そんなこともあり、今日は久しぶりに大型ショッピングモールへと足を運んだ。ここはちょうど私が高校生になった時に完成した建物で、当時の私は毎日のようにここに行きたいと両親に駄々をこねていた。実際に外出許可が出る度に足を運び、入院中の私にとって着ていく場所なんてなかったにも関わらず、可愛い洋服を母親にたくさん買ってもらった。たとえ着る機会がなかったとしても、両親もその出費を一切惜しまないでいてくれたのだ。そんな思い入れのある場所に彼と一緒に来るなんて、当時の私からすれば夢のまた夢のようだった。

 「芽依ちゃん、昔からここ好きだよね」

 平日なのでそれほど混んでいない館内を見渡しながら彼が目を細める。昔のことを思い出しているのか、口元を見ると口角はいつもより上がっていた。

 「うん。でももう当分来てなかったから、今日は久しぶりなんだ。あ、ほら見て。お店の場所も種類も昔とは随分変わってる」

 あの当時、この辺りではここが流行の最先端で、入院中とはいっても一応女子高生だった私は館内パンフレットを毎日のように病室で見て、どこに何のお店があるのか完璧に把握していた。だけどもうあの頃の面影なんてまったく残っていなかった。そんな情景に体の奥の方から寂しさが込み上げる。

 「もう十年くらい経つしね。そうだ、あの頃よくここでおばさんに洋服買ってもらってたよね。病室帰ってきたら毎回嬉しそうに見せてきてさ、『私の夢はこれ着ていつか彼氏とデートすること』とか言ってたけど、その夢は叶ったの?」

 彼は昔のことを本当によく覚えているようだ。確かに私は購入した洋服を彼に見せてはそんな夢を語っていた。もうその時の心理をはっきりとは思い出せないけれど、おそらく私がデートをしたいと思っていた相手は彼だったのだと思う。結局それは叶うことはなかったけど、そんな相手と今ここでこうして肩を並べていることがたまらなく嬉しくなった。あの頃願ったものとは少し違った形であっても、夢はほんの少しだけ叶ったような気がする。

 「半分、叶ったかな」

 私の言葉に彼は不思議そうに首を傾げた。
 それを見てまた、どうしようもなく嬉しくなっ