先週三浦さんとシフトを代わった日があったため、私は欲しくもない連休をゲットしてしまった。いつもなら別にどこに出かけることもなく、家でじっと漫画を読むなり昼寝を繰り返すなりしながら過ごすけれど、私には今一緒に過ごす人がいる。木嶋碧斗はあの日以来ずっと私の傍にいる。さすがに入浴中は一人だけど、それ以外は基本的に常に一緒だった。

 だからといって私の生活が大きく変わったかと言われると、そんなことはなかった。彼は幽霊なので(はた)から見れば今までと何ら変わりないからだ。ただ、そうは言っても私が神経を使う回数は確実に増えた。というのも、たとえ自室にこもっていたとしても、私が声を発すれば同じ家にいる家族に多少なりともその声が届いてしまう。そうなると私はまるで誰かと会話しているかのような独り言をひたすら喋り続ける変人と化してしまう。実際に一度だけ隣の部屋にいた弟から誰かいるのかと尋ねられた。その時は電話中だと嘘をつき何とか変人を免れたけれど、変人認定されるのはきっと時間の問題だろう。