「嫌われたのかな……」


一ヶ月前に呑んだくれた居酒屋のテーブル席で、私はまたジョッキでお酒を飲んでいた。


前の席にはアユミがいて、同じようにジョッキビールを口に運んでいる。


「聞く限りでは大丈夫そうだけどなぁ？」


アユミが砂肝の串を口に運びながら答える。


ゴリゴリとした歯ごたえのある音がこっちまで聞こえてくる。


「でも、あれ以来全然連絡来ないんだよ！？」


私は泣きそうな声になって言い、レバー串を手にする。


口に入れると甘辛いタレが舌に絡みついてきて、ビールが進んだ。


「う～ん、新曲が出るっていうなら忙しいんじゃないかな？」


そうなのかもしれないと、何度も思った。


けれど、レコーディングがあった日から今日で一ヶ月が経つのだ。


その間に少しの連絡も取れないなんてこと、あるだろうか？


それとも、一般的な仕事についている私にはわからないほど忙しいんだろうか？


「舞から連絡はとってるんだよね？」


「うん。レコーディングに行った当日にお礼のメッセージと、一週間後にもう１度会いたいってメッセージを送ってる」


けれど、そのどちらにも返事はなかった。


一応既読はついているから読んでいるはずなんだけど……。


そこまで考えてグッタリとテーブルに突っ伏した。