ピルル……ピルル……


 ケータイの着信音が鳴る。あたしのものだ。


 あたしは、すぐにケータイを確認した。そして、その中にある文面を見る。


 「琴音、ごめん。急用できた。ちょっと、今日、一緒に帰れないや」


 「ん? ああ、わかった!」


 「ごめん、ほんとごめん。せっかく誘ってくれたのに。今度、ごはんおごるからさ」

 「うんいいよ、気にしないで! また一緒に帰ろ! いってらっしゃい!」


 琴音が、手を振る。あたしは、そんな彼女に背を向け、駆けだした。