「「夫婦漫才じゃない」」 おっと。こいつと言葉が重なってしまった。 彼もそのことを屈辱的に思ったのか、ぎろりと私をにらみつける。 間に入ってきたのは、あたしの友人の琴音であった。琴音は、あたしの顔を見て、にこりとほほ笑む。 「野菊ちゃん、一緒にかーえろ!」 「別にいいけど」 「やったぁ!」 そういって、彼女は、あたしの腕を強引に掴む。そして、あたしと琴音は、いまだあたしの方を見る彼を置いて、教室を出たのだった。