あなたとなら(仮)

‎⋆ ・‎⋆ ・‎⋆ ・‎⋆

長い廊下を歩く

「大丈夫だよ、かえでちゃん。こんなの日常茶飯事だから」

「はい…」

空さん少し困った顔をして、花楓の頭を撫でた。

「大丈夫。若を信じて」

そうだ。私が不安になってどうするの!

「…っ!はい!」

「うん、いー子。じゃ、おやすみ〜」

またひとなでして、扉を閉めて行った。



煌雅side

「花楓が誰かに狙われているって話はしましたよね。ただのガキだったら俺がどうにかしますが…調べたところ組が関わってるようです」

「目星はつけてるんだろうな」

「それは私から」

そう、陸が答える。

「恐らく、犬塚組かと…。この間、呉羽花楓の自宅周辺を警戒していたところに、以前見たことがある顔があり、そいつが彼女の部屋のポストに紙を入れているのを確認しました」

「で、そいつは…?」

陸が言葉につまる。当然だ。

逃がしてしまったという失態。

「も、申し訳…」

「すみません。取り逃しました」

陸の言葉を遮って煌雅が答える。

「“お前”が取り逃したんだな?」

「はっ、申し訳ございません」

「なぜそうなったか、自分で分かるな」

「はい」

「ならいい。とにかく、組が関わっているなら俺も手をかそう。なにせ、お前の大事な人だから」

とイタズラな顔をして言う。

さっきまで、威厳はどこに行ったのやら…